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HOME > 本・書籍 > 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
歴史の評価を待つ
(2009-01-03)
貧困とは非常に古くから存在する問題であり、それは人類が誕生して有史以来5000万年以上前から例えば狩猟に於ける不平等分配の問題であったり、支配者と被支配者の問題、或は帝国と
その人民の問題であったりと常に2儀的な側面を持つ、つまり持たざるものと持つものとの
せめぎあいであったり、それが歴史の大きな局面にに於いて戦争の主たる要因であったりしてきた。21世紀に入ってここ日本ではいや世界において拡がる貧困と格差の問題はついにアメリカの崩壊によって益々混迷の極みに達するに至った訳であるが、今20世紀初頭に起こった大恐慌それ以上のショックで語られている。飢餓と貧困あるいはテロリズムの問題は常に表裏一体であり、今オバマ政権の誕生によってまるで彼が救世主のように語られているが、果たしてルーズベルトのように、ニューグリーンディール政策が功を奏すのか、或いはアフガンに対する
テロリズム撲滅が功を奏すのかは、今まだ誰の目にも明らかでは無い。ではここ日本はどうなのか・・全ての問いに対する答えはこの本に書かれている。
今、誰もが読んでおかねばならないと思える1冊。
(2009-01-01)
新年が明けて、おめでた気分に浸る間もなく、「朝まで生テレビ」を見て、今この国で起こっている貧困問題の実情を改めて実感させられた。本書は、番組でも発言していた湯浅誠氏による現場での最前線の優れたレポート。大佛次郎賞受賞、既に話題になっていたもののへビィな題材に読むのが躊躇されていたのだが急いで読了、今まで避けていた事を恥じたくなった。これは、今誰もが読んでおかねばならないと思える本である。
生活保護の濫給と漏給、公的セーフティネットでの行政の対応、会社防衛の為の派遣切り、本末転倒と思える論理の中、紹介される様々な数字、事例が実証するこちらの想像を超える過酷さ、五重の配慮の辛苦さ、そしてそれが日々速度を増して増幅している事実の怖さ。酷い話である。正直これほど深刻化しているとは思わなかった。本書を読めば、一部で支配的な、非正規労働者、貧困層への現状での“自己責任論”がいかに事実誤認と偏見を以って括られているのかが分かる。
本書が出て8ヵ月、事態は更に悪化、普遍化しつつある現在、政府は何故貧困問題に向き合わないのか、喝破されるその理由を読めば、もはやこの国の政治に多くは期待出来ないのか。最前線の現場で真摯に活動する人々に心打たれつつ、読む者がそれぞれの立場でこの問題とどう関わっていけるのか考えなければいけないし、読んでいて久しぶりに連帯との言葉を感じさせる熱い1冊。
強い社会をつくるために
(2008-12-22)
貧困の問題に関心を寄せている。非正規労働者が全労働者の3分の1を占めるまでになった日本社会で,働いても働いても人間らしい暮らしができない人々が急増している。世界経済が失速し,企業の業績が急激に悪化しており,非正規労働者の突然の解雇が連日マスコミで報道されている。雇用,社会保険(雇用保険,健康保険,厚生年金,労災など),公的扶助という3つセーフティネットが機能していなければ,一たび職を失うといっきに最下層の生活に転落する危険があるという。社員寮を追われ,住む所さえ確保されない場合には,まさに生存そのものが脅かされる。解雇された人の中には,40歳以降の中高年の割合が高い。子育てや親の介護など,家族に対する責任が重くのしかかる時期である。
1990年代以降,企業は国際競争に打ち勝つために,非正規労働者を増やし,正社員の数を圧縮することでコスト削減を進めた。国は相次いで規制緩和を行い,あらゆる業界での非正規雇用が一般化した。しかし,社会保険料の負担を嫌ってこれに加入しない企業もあり,労働者にとってはいつ契約が打ち切られるかわからないため,生活はいつまでも不安定のままだ。
何かが間違っているし,このままではいけないと改めて思う。新しい考え方,新しい価値観を見出し,社会のあり方,ひいては政治の方向を構想していく時期がきている。湯浅は,皆がこの問題に関心を持ち,連帯し合って,ともに「強い社会」を作ろうと読者に強く呼びかけている。多くの人にぜひ手にとって読み,この問題(貧困)について深く考えてほしいと願う。
湯浅は,生活に困窮した状態を“溜めがない”状態と表現した。この“溜め”は見ようとしなければ決して見えないものであると言う。私は大学に勤務しているが,日々接している学生の中にも,何とか学費を捻出し,過重なアルバイトをしながら学んでいる者も多い。大学は社会の縮図であり,貧困の問題は決して他人事でもなく,どこか別世界で起きている問題でもないと感じている。平成20年度大沸次郎論壇賞受賞(朝日新聞社)。
現代日本社会の負の象徴をあらわしている
(2008-12-21)
社会的弱者に対するセーフティネットの必要性を説いている。本書を読めば、日本社会がいかに敗者復活が厳しいかわかるだろう。これに合わせて、同じ岩波新書の「ルポ 貧困大国アメリカ」を読めばより一層現代社会の問題点を理解できるでしょう。
一刻も早い政治的解決を望みます!
大仏次郎論壇賞受賞作
(2008-12-21)
08年大仏次郎論壇賞受賞作である。5重の排除や「溜め」の概念を生みだした湯浅氏の功績はすばらしいが、私が湯浅氏の著作の中で、一番に感心したのは、自己責任論にまっこうから向かっているところだ。湯浅氏も認めているように、実は貧困な人ほど、自己責任論にはまってしまっているのが、日本社会である。それがなぜなのかについての湯浅氏の考察は素晴らしい。(その点は、この本だけでなく氏のさまざま他の著作からもうかがえる)。そうした意味では、5重の排除のうち自己からの排除がもっとも強烈であり、それを生み出す社会構造を洞察していくことが必要だ。
おすすめ度:
歴史の評価を待つ
貧困とは非常に古くから存在する問題であり、それは人類が誕生して有史以来5000万年以上前から例えば狩猟に於ける不平等分配の問題であったり、支配者と被支配者の問題、或は帝国と
その人民の問題であったりと常に2儀的な側面を持つ、つまり持たざるものと持つものとの
せめぎあいであったり、それが歴史の大きな局面にに於いて戦争の主たる要因であったりしてきた。21世紀に入ってここ日本ではいや世界において拡がる貧困と格差の問題はついにアメリカの崩壊によって益々混迷の極みに達するに至った訳であるが、今20世紀初頭に起こった大恐慌それ以上のショックで語られている。飢餓と貧困あるいはテロリズムの問題は常に表裏一体であり、今オバマ政権の誕生によってまるで彼が救世主のように語られているが、果たしてルーズベルトのように、ニューグリーンディール政策が功を奏すのか、或いはアフガンに対する
テロリズム撲滅が功を奏すのかは、今まだ誰の目にも明らかでは無い。ではここ日本はどうなのか・・全ての問いに対する答えはこの本に書かれている。
今、誰もが読んでおかねばならないと思える1冊。
新年が明けて、おめでた気分に浸る間もなく、「朝まで生テレビ」を見て、今この国で起こっている貧困問題の実情を改めて実感させられた。本書は、番組でも発言していた湯浅誠氏による現場での最前線の優れたレポート。大佛次郎賞受賞、既に話題になっていたもののへビィな題材に読むのが躊躇されていたのだが急いで読了、今まで避けていた事を恥じたくなった。これは、今誰もが読んでおかねばならないと思える本である。
生活保護の濫給と漏給、公的セーフティネットでの行政の対応、会社防衛の為の派遣切り、本末転倒と思える論理の中、紹介される様々な数字、事例が実証するこちらの想像を超える過酷さ、五重の配慮の辛苦さ、そしてそれが日々速度を増して増幅している事実の怖さ。酷い話である。正直これほど深刻化しているとは思わなかった。本書を読めば、一部で支配的な、非正規労働者、貧困層への現状での“自己責任論”がいかに事実誤認と偏見を以って括られているのかが分かる。
本書が出て8ヵ月、事態は更に悪化、普遍化しつつある現在、政府は何故貧困問題に向き合わないのか、喝破されるその理由を読めば、もはやこの国の政治に多くは期待出来ないのか。最前線の現場で真摯に活動する人々に心打たれつつ、読む者がそれぞれの立場でこの問題とどう関わっていけるのか考えなければいけないし、読んでいて久しぶりに連帯との言葉を感じさせる熱い1冊。
強い社会をつくるために
貧困の問題に関心を寄せている。非正規労働者が全労働者の3分の1を占めるまでになった日本社会で,働いても働いても人間らしい暮らしができない人々が急増している。世界経済が失速し,企業の業績が急激に悪化しており,非正規労働者の突然の解雇が連日マスコミで報道されている。雇用,社会保険(雇用保険,健康保険,厚生年金,労災など),公的扶助という3つセーフティネットが機能していなければ,一たび職を失うといっきに最下層の生活に転落する危険があるという。社員寮を追われ,住む所さえ確保されない場合には,まさに生存そのものが脅かされる。解雇された人の中には,40歳以降の中高年の割合が高い。子育てや親の介護など,家族に対する責任が重くのしかかる時期である。
1990年代以降,企業は国際競争に打ち勝つために,非正規労働者を増やし,正社員の数を圧縮することでコスト削減を進めた。国は相次いで規制緩和を行い,あらゆる業界での非正規雇用が一般化した。しかし,社会保険料の負担を嫌ってこれに加入しない企業もあり,労働者にとってはいつ契約が打ち切られるかわからないため,生活はいつまでも不安定のままだ。
何かが間違っているし,このままではいけないと改めて思う。新しい考え方,新しい価値観を見出し,社会のあり方,ひいては政治の方向を構想していく時期がきている。湯浅は,皆がこの問題に関心を持ち,連帯し合って,ともに「強い社会」を作ろうと読者に強く呼びかけている。多くの人にぜひ手にとって読み,この問題(貧困)について深く考えてほしいと願う。
湯浅は,生活に困窮した状態を“溜めがない”状態と表現した。この“溜め”は見ようとしなければ決して見えないものであると言う。私は大学に勤務しているが,日々接している学生の中にも,何とか学費を捻出し,過重なアルバイトをしながら学んでいる者も多い。大学は社会の縮図であり,貧困の問題は決して他人事でもなく,どこか別世界で起きている問題でもないと感じている。平成20年度大沸次郎論壇賞受賞(朝日新聞社)。
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一刻も早い政治的解決を望みます!
大仏次郎論壇賞受賞作
08年大仏次郎論壇賞受賞作である。5重の排除や「溜め」の概念を生みだした湯浅氏の功績はすばらしいが、私が湯浅氏の著作の中で、一番に感心したのは、自己責任論にまっこうから向かっているところだ。湯浅氏も認めているように、実は貧困な人ほど、自己責任論にはまってしまっているのが、日本社会である。それがなぜなのかについての湯浅氏の考察は素晴らしい。(その点は、この本だけでなく氏のさまざま他の著作からもうかがえる)。そうした意味では、5重の排除のうち自己からの排除がもっとも強烈であり、それを生み出す社会構造を洞察していくことが必要だ。


