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HOME > 本・書籍 > 氷川清話 (講談社学術文庫)
氷川清話 (講談社学術文庫)
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
粋でイナセな江戸っ子の放言譚
(2007-11-18)
勝を嫌う人間は大抵が小説家の勝観が元であることが多い。
曰く、近藤勇を見捨て、会津を見捨てた男ということらしい。だが、勝を嫌う前に勝の置かれ
た立場を考えるのが先決であろう。
ある意味勝の放言ばかりであるが、それだけではない勝自身の反戦観が書かれており
日清戦争を「兄弟喧嘩」という例えは優れているかもしれない。
言いたい放題言いまくった勝ではあるが、的を外さず厳しい警告は現代に相通じるものが
あるのかもしれない。
幕末を30年生きた男の肉声を聞いているような文体。
(2007-09-30)
勝海舟は幕末を30年生きた。自分を殺しにわざわざ自宅に来た竜馬を海外に目を向けさせ、西郷と談判して無血開城させ、大久保に東京の繁栄をたのんだ。
幕末から明治の生き証人は、維新後30年して、徳川慶喜を明治天皇に会わせることによって仕事に締めくくりをつけた。
本書は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」などを読んでおくと、人物評伝等はとても興味深く読めることでしょう。また、今日の政治のあり方や当時の時勢を知る資料ともなるでしょう。
しかし、今の時勢にこういう人はいない。貧乏は30まで続いて庶民の気持ちもよく分かるようだし、剣術・禅の稽古で胆力を鍛えたようだし、学問も「活(いき)(学問」だという。なんといっても弁が立つ。
勝が生きていたら「みんな間の抜けた政治家ばかりだよ。外交もなにもできていない。いつの間にかマグロも日本の食だと独占していたら、海外に占拠され始めた。ものの値段もどんどん上がるね。市場原理だ。規制緩和だなどと、内向きの都合のいい法螺吹いていないで、外を見ないと、朝鮮やヲロシアにやられちまうんじゃないかい。」などと言うかもしれない。
べらんめえ 勝海舟でスッキリ
(2007-09-20)
勝海舟のべらんめえ口調で歯に衣着せぬ物言いが味わえる本です。
江戸無血開城の幕府側の立役者、勝海舟。
1899年明治32年77歳で亡くなった彼の、
晩年70代の頃の言葉とは思えぬほど威勢のいい言葉が収められています。
語られているのは、
自分の生い立ち、幕末動乱期の体験、
出逢った人々の事、
その中でも特に西南戦争で自刃した西郷隆盛についての想い出の数々が感動的です。
こんな口調で語っています。
「西郷に及ぶ事が出来ないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。
オレの一言を信じて、たった一人で、江戸城に乗り込む。
オレだって事に処して多少の権謀を用いない事もないが、
ただこの西郷の『至誠』は、オレをしてあい欺くに忍びざらしめた。
この時に際して、小籌浅略(しょうちゅうせんりゃく)を事とするのは
かえってこの人のために、腹を見透かされるばかりだと思って、
オレも至誠をもってこれに応じたから、
江戸城受け渡しも、あの通り立談の間に済んだのサ。」
平易な言葉で時事、当時の明治政府への批判なども語られていますが
様々な事柄に言及する言葉には『武士道』が一貫しています。
言行一致、肉体を離れた観念は意味がない。
強い肉体に強い精神が宿る。
政治は常に『正心誠意』
刺客に狙われ続けた海舟ですが、常に丸腰で応対していたそうです。
自分を殺しに来た刺客に対して
『お前の刀は抜くと天井につかえるぞ』とか
『斬るなら見事に斬れ。勝はおとなしくしていてやる』
などというと、たいていの者は向こうから止めてしまった、
こんな風に一度も逃げもしないで、斬られずに済んだ、などとという逸話も語っています。
こんな豪傑の75歳の時、翌年の戌年への発句がこれです。
「男らしく 大喧嘩せよ いぬの春」
福翁自伝と読み比べると面白い
(2007-06-28)
近代と前近代をまたぐエリートの放談という意味ですごく興味深い。
勝は至誠が何より大事であると繰り返し、事前に綿密に計画を立てて挑む近代的な外交交渉スタイルを否定。勝海舟と西郷隆盛という至誠同士の交渉が江戸城の無血開場をもたらした、と主張する(手前味噌すぎ?)。法やシステムに寄らない前近代の為政者のスタイルを垣間見せる。
そして何より興味深いのは、同時代の知識人の福澤諭吉との認識の違いだ。
勝と福澤共にスタートは蘭学で外国語に堪能、しかも双方とも名うての剣豪で、双方とも頭の切れ味に優れ、そして共に咸臨丸の航海でアメリカを知る。
そんな似た経歴の二人ながら、日清戦争の評価に現れる二人の対アジア観はまるで対極。
この二人の立場の違いは今なら丁度、親米派と親中派の対立のご先祖みたいなものだろうか。
お喋り伯爵
(2007-04-17)
平たく言えば幕臣・勝海舟のインタビュー集のようなもの。
話し言葉で書かれてあるので読み口がいい。
口先のよく回る、勝のポンポンした放談の調子がよく出ている。
内容は、勝の体験談や人生訓、古今の人物評、政治評など。
とは言っても普通の人のそれではなく、家茂存命中、幕府瓦解期と、
2度の重要期に幕府の中枢にあった人物の体験談で、
幕末の高官にも、志士にも、顔の利いた同時代人の人物評である。
本書の雰囲気や勝の性格から言って、話を面白くする為の罪のない誇張や啖呵くらいはありそうだが、
貴重なコメントを豊富に含んでいるのは間違いない。
興味あるなら是非。
おすすめ度:
粋でイナセな江戸っ子の放言譚
勝を嫌う人間は大抵が小説家の勝観が元であることが多い。
曰く、近藤勇を見捨て、会津を見捨てた男ということらしい。だが、勝を嫌う前に勝の置かれ
た立場を考えるのが先決であろう。
ある意味勝の放言ばかりであるが、それだけではない勝自身の反戦観が書かれており
日清戦争を「兄弟喧嘩」という例えは優れているかもしれない。
言いたい放題言いまくった勝ではあるが、的を外さず厳しい警告は現代に相通じるものが
あるのかもしれない。
幕末を30年生きた男の肉声を聞いているような文体。
勝海舟は幕末を30年生きた。自分を殺しにわざわざ自宅に来た竜馬を海外に目を向けさせ、西郷と談判して無血開城させ、大久保に東京の繁栄をたのんだ。
幕末から明治の生き証人は、維新後30年して、徳川慶喜を明治天皇に会わせることによって仕事に締めくくりをつけた。
本書は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」などを読んでおくと、人物評伝等はとても興味深く読めることでしょう。また、今日の政治のあり方や当時の時勢を知る資料ともなるでしょう。
しかし、今の時勢にこういう人はいない。貧乏は30まで続いて庶民の気持ちもよく分かるようだし、剣術・禅の稽古で胆力を鍛えたようだし、学問も「活(いき)(学問」だという。なんといっても弁が立つ。
勝が生きていたら「みんな間の抜けた政治家ばかりだよ。外交もなにもできていない。いつの間にかマグロも日本の食だと独占していたら、海外に占拠され始めた。ものの値段もどんどん上がるね。市場原理だ。規制緩和だなどと、内向きの都合のいい法螺吹いていないで、外を見ないと、朝鮮やヲロシアにやられちまうんじゃないかい。」などと言うかもしれない。
べらんめえ 勝海舟でスッキリ
勝海舟のべらんめえ口調で歯に衣着せぬ物言いが味わえる本です。
江戸無血開城の幕府側の立役者、勝海舟。
1899年明治32年77歳で亡くなった彼の、
晩年70代の頃の言葉とは思えぬほど威勢のいい言葉が収められています。
語られているのは、
自分の生い立ち、幕末動乱期の体験、
出逢った人々の事、
その中でも特に西南戦争で自刃した西郷隆盛についての想い出の数々が感動的です。
こんな口調で語っています。
「西郷に及ぶ事が出来ないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。
オレの一言を信じて、たった一人で、江戸城に乗り込む。
オレだって事に処して多少の権謀を用いない事もないが、
ただこの西郷の『至誠』は、オレをしてあい欺くに忍びざらしめた。
この時に際して、小籌浅略(しょうちゅうせんりゃく)を事とするのは
かえってこの人のために、腹を見透かされるばかりだと思って、
オレも至誠をもってこれに応じたから、
江戸城受け渡しも、あの通り立談の間に済んだのサ。」
平易な言葉で時事、当時の明治政府への批判なども語られていますが
様々な事柄に言及する言葉には『武士道』が一貫しています。
言行一致、肉体を離れた観念は意味がない。
強い肉体に強い精神が宿る。
政治は常に『正心誠意』
刺客に狙われ続けた海舟ですが、常に丸腰で応対していたそうです。
自分を殺しに来た刺客に対して
『お前の刀は抜くと天井につかえるぞ』とか
『斬るなら見事に斬れ。勝はおとなしくしていてやる』
などというと、たいていの者は向こうから止めてしまった、
こんな風に一度も逃げもしないで、斬られずに済んだ、などとという逸話も語っています。
こんな豪傑の75歳の時、翌年の戌年への発句がこれです。
「男らしく 大喧嘩せよ いぬの春」
福翁自伝と読み比べると面白い
近代と前近代をまたぐエリートの放談という意味ですごく興味深い。
勝は至誠が何より大事であると繰り返し、事前に綿密に計画を立てて挑む近代的な外交交渉スタイルを否定。勝海舟と西郷隆盛という至誠同士の交渉が江戸城の無血開場をもたらした、と主張する(手前味噌すぎ?)。法やシステムに寄らない前近代の為政者のスタイルを垣間見せる。
そして何より興味深いのは、同時代の知識人の福澤諭吉との認識の違いだ。
勝と福澤共にスタートは蘭学で外国語に堪能、しかも双方とも名うての剣豪で、双方とも頭の切れ味に優れ、そして共に咸臨丸の航海でアメリカを知る。
そんな似た経歴の二人ながら、日清戦争の評価に現れる二人の対アジア観はまるで対極。
この二人の立場の違いは今なら丁度、親米派と親中派の対立のご先祖みたいなものだろうか。
お喋り伯爵
平たく言えば幕臣・勝海舟のインタビュー集のようなもの。
話し言葉で書かれてあるので読み口がいい。
口先のよく回る、勝のポンポンした放談の調子がよく出ている。
内容は、勝の体験談や人生訓、古今の人物評、政治評など。
とは言っても普通の人のそれではなく、家茂存命中、幕府瓦解期と、
2度の重要期に幕府の中枢にあった人物の体験談で、
幕末の高官にも、志士にも、顔の利いた同時代人の人物評である。
本書の雰囲気や勝の性格から言って、話を面白くする為の罪のない誇張や啖呵くらいはありそうだが、
貴重なコメントを豊富に含んでいるのは間違いない。
興味あるなら是非。


